フリーランスエンジニアとして独立を考えるとき、どのような手続きが必要なのか迷う方は多いですね。
特に迷ってしまうのが、個人事業主として開業届を提出すべきなのかという点。
そこで今回は、フリーランスエンジニアが開業届を提出するメリットと必要な手続きについてご説明します。
面倒な手続きをしてまで、開業届を提出するメリットは何なのか、詳しく解説します。
開業届の提出は必須ではない
勘違いしている方も多いですが、開業届の提出は義務ではありません。
あくまで任意となっているため、開業届を提出せずにフリーランスエンジニアとして仕事をしても、法的な罰則を受けることはありません。
ただし、フリーランスエンジニアとして働いていくうえで、開業届を提出することはメリットがとても多いです。
開業届の記入と提出には時間と手間がかかるものの、得られるメリットのほうが遥かに大きいといえます。

特別な事情がない限り、フリーランスになったタイミングで開業届を提出することをおすすめします。
フリーランスエンジニアが開業届を出すメリット
ではフリーランスエンジニアが開業届を出すことのメリットは何があるのか。
主なポイントを整理すると、以下の3点になります。
- 青色申告ができる
- 屋号を取得できる
- 赤字の繰越ができる
それぞれの点について、詳しく解説していきます。
青色申告ができる
フリーランスエンジニアと正社員を比べたとき、大きな違いのひとつが確定申告です。
正社員として働いていると、副業をしていたり不労所得がない限り、確定申告とは無縁の方が多いです。
その点、フリーランスエンジニアとして独立すると、確定申告は必須です。
確定申告で提出した書類を元に、翌年の保険料や住民税などが決まるため、適切に申告をしないといけません。
確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。
青色申告は提出書類が少し複雑になるものの、最大で65万円の控除を受けられるなどメリットが大きいです。
白色申告よりも節税できる範囲が広いため、年間収入が290万円を超える場合は青色申告が断然おすすめです。
そして青色申告を行うための条件として、開業届の提出が必須となっています。
青色申告を利用できるという点だけでも、開業届を提出する意味はあるといえます。

開業届と一緒に青色申告の申請書を提出してしまうと効率的ですよ。
屋号を取得できる
開業届を提出することで、屋号を取得できます。
個人事業主の場合、法人名の取得はできませんが、屋号はつけられます。
名刺に屋号を載せてあるだけでも、顧客から得られる信頼は大きく変わるものです。
また、屋号を取得すると銀行口座を屋号名で取得することができます。
振込などのやり取りも屋号名口座で行えるため、信頼感に違いがでます。
入出金管理も仕事とプライベートを分けることができるため、確定申告のときの帳簿を付ける作業が楽になります。
赤字を繰り越せる
開業届けと一緒に青色申告の申請書を提出しておくと、赤字を最大3年間繰り越せるようになります。
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
もちろん赤字にならないことがベストですが、もし赤字になってしまっても最大3年間は繰越できるため、翌年の所得を下げられるというメリットがあります。
開業届けを出していない場合、赤字になっても翌年への繰越ができないため、節税に活かすことができません。
フリーランスエンジニアが青色申告することのメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
よろしければあわせてご覧ください。
開業届を提出するための手順
ここからは実際に開業届を提出する方法や、必要な準備物について解説します。
独立前から準備を進めておけるとベストです。
開業から1ヶ月以内に提出が必要
開業届けは事業を開始した日から1ヶ月以内に提出する必要があります。
事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内に提出してください。なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
フリーランスエンジニアとして独立したときだけではなく、事務所の移転や増設、廃業するときも届け出が必要です。
ちなみに、開業届のフォーマットは以下のリンクからPDFをダウンロードできます。

PDF上で必要事項を記入しておくと、手書きの手間を省けるので便利ですよ。
印鑑やマイナンバーも必要
開業届を申請する際には、以下の3点も前もって準備しておきましょう。
- 事業用の印鑑
- 本人確認書類
- マイナンバー
印鑑
開業届けを提出する際には捺印が必要です。
何か訂正が必要になったときも、印鑑が必要になりますので、必ず印鑑持参の上で届け出に行きましょう。
個人で使用している印鑑でも問題はありませんが、事業用の印鑑を作っておくことをおすすめします。
銀行で口座を作るときも、屋号の印鑑を作っておくと便利です。

楽天市場などで印鑑は簡単に発注できます。届くまで1週間くらいかかるので、早めに発注しておきましょうね。
本人確認書類
当然ですが、ご自身の本人確認できる書類も必要です。
運転免許証がある方は運転免許証で大丈夫です。
運転免許証を取得していない場合は、パスポートなどの本人確認書類を準備しておきましょう。
マイナンバー
開業届には個人番号を記入する必要があります。
マイナンバーカードなどを作っていない方は、あらかじめご自身のマイナンバーを調べておきましょう。

控えとして持ち帰る書類にはマイナンバーを書かないようにしましょうね。あくまで提出用の書類のみに記載しましょう。
開業届けは管轄の税務署へ提出
開業届けはどこへ提出すればよいのか迷う方も多いですが、正解は税務署です。
注意が必要なのは、税務署であればどこでも良い訳ではありません。
お住いの市区町村を管轄する税務署を調べた上で、開業届などの書類を揃えて提出に行きましょう。
市役所などと同じように、基本的に平日のみの対応となります。
開業から1ヶ月以内に提出が必要となるため、早めに予定を調整して提出に行きましょう。

書類に不備があっても、その場で指導してくれるので大丈夫ですよ。訂正印として印鑑を忘れずに持参しましょう。
フリーランスエンジニアになるなら開業届の提出を
フリーランスエンジニアとして生計を立てていくつもりであれば、開業届を提出することをおすすめします。
青色申告も同時に申請しておけば、確定申告の手間は多少増えるものの節税に役立ちます。
開業届を提出することのデメリットは、準備に時間がかかることくらいです。
独立前に屋号を決めて印鑑を発注しておいたり、前もって準備を進めておけば、独立後にバタバタすることもありません。
スムーズに開業届を提出して、フリーランスエンジニアとしての本業に集中できる環境を作りましょう。