フリーランスエンジニアとして独立するとき、屋号をどうすべきか悩む方は多いですね。
そもそも屋号の必要性を把握できていなかったり、どのように手続きすればよいのかわからない、という方も少なくありません。
フリーランスエンジニアとして働いていくなら、屋号を得ることで様々なメリットを受けられます。
今回は屋号の決め方と必要性について詳しく解説します。
屋号を得るために必要な手続きについて
意外と知られていませんが、フリーランスエンジニアになっただけで屋号を得ることはできません。
屋号を得るためには、管轄の税務署へ個人事業の開業届を出す必要があります。
税務署へ行く必要があったり、デメリットとしては手間がかかることくらいです。
屋号を持つことは多数のメリットがあるため、独立したときに開業届を出すことをおすすめします。
ちなみに、開業届の提出期限は独立から1ヶ月以内となっています。
事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内に提出してください。なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
開業届のフォーマットは以下のリンクからPDFをダウンロードできます。

PDF上で必要事項を記入しておくと、手書きの手間を省けるので便利ですよ。
屋号を決めることの3つのメリット
フリーランスエンジニアが屋号を決めることで得られるメリットは、大きく分けて以下の3つがあります。
- 仕事へのモチベーションが上がる
- 取引先から信頼を得られる
- 屋号で銀行口座を作れる
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
仕事へのモチベーションが上がる
フリーランスエンジニアとして独立しても、屋号のない状態では開業した実感が沸きにくいです。
屋号があれば、個人事業として独立した実感を一層持てるようになり、自然と仕事へのモチベーションも上がります。
会社の設立とは少し異なりますが、屋号を背負うことで事業主としての責任感も芽生えます。
個人事業といえど、経営者であることに違いはありません。
事業の責任者としての覚悟を背負って、仕事に取り組んでいけますよ。

屋号を持つことで自分の事業に対して愛着も湧いてきますよ。
取引先から信頼を得られる
屋号があることで、取引先からも信頼されやすくなります。
直接挨拶するときはもちろん、名刺やメールなど、屋号を知ってもらう場面はたくさんあります。
たとえば、フリーランスエンジニアの佐藤さんが挨拶するとき、「佐藤です。」と「○○○システムの佐藤です。」では後者の方が良い印象を受けますよね。
実際に作業を行うのは同じ佐藤さんですので、ちょっとしたイメージの変化であることは事実です。
とはいえ、第一印象からある程度の信頼を得られることは、フリーランスとして働く上で大きなメリットになります。

どれだけカッコイイ屋号をつけても、実際の仕事がダメダメでは意味がありませんからね。
屋号で銀行口座を作れる
税務署に開業届を提出して正式に屋号を得られると、個人名ではなく屋号で銀行口座が作れるようになります。
屋号の口座があることで、フリーランスエンジニアにとって避けられない確定申告の手間を大幅に省けるようになります。
個人名義の口座を使って確定申告を行うこともできますが、入出金の管理がややこしくなります。
その点、屋号の口座があれば、仕事とプライベートの入出金を明確に分けられて便利です。
ほかにも、大きな案件を受注してひとりでは対応できない場合、知り合いのエンジニアに仕事を依頼することもあります。
外注費用として報酬を支払うときも、個人名ではなく屋号で報酬を振り込むことができます。

報酬を振込んでもらう場合も、屋号口座に振込んでもらうことになるので、個人名義の口座より信頼感が増しますよ。
屋号は自由に決めることができる
屋号の命名は、基本的に自由な名前を付けることができます。
しかしながら、好きな名前を付けるだけではデメリットもあります。
たとえば、エンジニアの田中さんが「田中商店」という屋号にした場合、パッと見て何の仕事をしているのかわかりづらいです。
フリーランスにとって、屋号のわかりやすさはとても大切です。
たとえば、再度仕事を依頼しようと思ったときに、名刺に書かれた屋号が「田中商店」では思い出してもらえないリスクがあります。
最悪の場合、不要な名刺だと勘違いされて捨てられてしまう恐れもあります。
継続的に案件を受注するためにも、自分が何の仕事をしているのか、わかりやすい屋号にしましょう。
プログラマーなら「田中システム開発」、ネットワークエンジニアであれば「田中ネットワーク」など連想できる屋号もおすすめです。
命名することができない屋号
基本的に自由な名前をつけられる屋号ではありますが、主に以下の理由で命名できないこともあります。
- 社会的に有名な企業と同じ屋号
- 既に同一市町村で使用されている屋号
それぞれの理由を順に解説していきます。
社会的に有名な企業と同じ屋号
既に社会的な有名企業と同じ名前を屋号にすることはできません。
たとえば屋号を「Google」にした場合、「Googleの田中です」と名乗ってしまうと、誰もが田中さんはGoogleの社員なんだと勘違いしてしまいます。
大手企業の社員と偽って高額な報酬を得たり、案件を不正に受注できないようにするため、有名企業と同じ名前はつけられません。

社名が商標登録されている場合もあるので、余程の理由がない限り有名企業と同じ屋号は避けましょう。
既に同一市町村で使用されている屋号
有名企業でなくても、同一市町村で同じ屋号が使われている場合も命名できない場合があります。
近い地域で同一屋号があると、混乱を招いてしまう可能性が高いからです。
八百屋とエンジニアのように、明らかに業種が異なる場合は認められることもあります。
気になっている屋号がすでに使用されていた場合、まずは税務署へ申請してみることも有効です。

個人事業の屋号と同じように、まったく同じ社名の会社もたまに見かけますよね。
フリーランスになるなら屋号を決めよう
フリーランスエンジニアにとって、屋号は看板そのものです。
取引先から覚えてもらいやすくなったり、屋号名義で入出金を管理できるなど、たくさんのメリットがあります。
開業届を提出するという手間が発生する以外のデメリットはないため、これから独立を考える方はぜひ屋号を考えてみてください。
愛着を持てる屋号を決めて、フリーランスエンジニアとして飛躍を目指しましょう。