フリーランスエンジニアとして独立すると、自分で営業を行って案件を受注しなければなりません。
会社員時代は会社に任せていた契約についても、自分自身で内容をチェックして判断しないといけなくなります。
契約の基本知識を覚えておくことは、フリーランスエンジニアにとって非常に重要です。
そこで今回は、フリーランスエンジニアが知っておくべき契約の基本について詳しく解説します。
正社員とフリーランスエンジニアの責任範囲の違い
具体的な契約内容の知識について解説する前に、正社員とフリーランスでは仕事を行う上で責任範囲に違いがあることに触れておきます。
正社員や派遣エンジニアであれば、故意で行った行動以外の責任についてはエンジニア個人ではなく所属する企業が負うことになります。
たとえば、納品すべきシステムが納期に間に合わなかったとしても、エンジニアの故意でない限り、個人で損害賠償責任を背負わされたり、退職させられることはありません。
しかしフリーランスエンジニアの場合、悪意や故意の有無を問わず、個人で責任を背負うことになります。
納期までにシステムを納品できなかった場合、契約内容によっては損害賠償責任を負ったり、報酬が支払われない可能性もあります。
そのため、仕事を受注する前に契約内容について交渉することが大切ですし、詳細まで確認を怠ることはとても危険なのです。

自分の身を守るためにも、案件を受注する際には契約内容を隅々まできちんとチェックするクセをつけましょうね。
業務委託契約は大きく分けて2種類ある
企業がエンジニアを社員として雇用するのではなく、エンジニアに直接業務を委託することを業務委託といいます。
そして、業務を委託する上で結ぶ契約が業務委託契約となります。
フリーランスエンジニアとして仕事をする場合、基本的に業務委託契約を結んでから仕事を行ったり、製品を納品することが多くなります。
ただし、業務委託契約には大きく分けて以下の2種類があります。
- 請負契約
- 準委任契約
それぞれの違いについて、詳しく解説していきます。
請負契約
まずは業務委託契約のうちのひとつ、請負契約について解説します。
請負契約を結ぶことで、期日までに納品することや、作業を完了する義務が発生します。
たとえば今年の11月30日までにシステムAを納品する請負契約を結び、期日までに納品できなかった場合、期日を越えてでもシステムAを納品する必要があります。
また、基本的に納品または作業が完了するまで報酬を受け取ることはできません。
100個の作業を請負契約した場合、1つ目の作業が完了しても、100個目の作業が終わるまで報酬を受け取ることができません。

請負契約の場合、お金をきちんと管理しておかないと生活費に困ってしまうことになりますよ。
準委任契約
続いて業務委託契約の準委任契約について解説します。
フリーランスエンジニアとして活躍している方の中には委任契約と認識している方も多いですが、正確には準委任契約です。
委任契約とは、法律が関係する業務を委任する場合の契約を指します。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
法律が関係しない業務を準委任契約と呼ぶため、基本的にエンジニアとして契約するのは準委任契約になります。
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
請負契約との大きな違いは、必ずしも契約した納品や作業を完了させる必要がないことです。
契約している期間が終了すると、その時点の進捗に関わらず報酬を得ることができます。
保守作業をはじめ、プロジェクトの支援がメインの案件など、明確な納品物のない案件が主になります。
当然ですが、納品の義務がないからといって、いい加減な仕事をすることは厳禁です。
次の依頼がなくなってしまうため、どのような契約であっても全力で取り込むことが大切です。

継続的に仕事を依頼してもらえるように、どんな仕事も丁寧に進めましょうね。
フリーランスエンジニアが契約を結ぶ際の注意点
請負契約で案件を受注するのか、委任契約で仕事を請けるのかも契約時の重要な注意点ですが、他にも気をつけるべき点があります。
順を追って解説していきます。
日付の認識を時間まで決める
保守作業の支援を行う期間やシステムなどを納品日など、フリーランスエンジニアが業務委託契約を結ぶときには必ず日程が契約内容に含まれます。
日程について認識のズレがあると、後でトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
たとえば、10日中の納品と聞くと11日の始業開始までに納品すれば良い、と解釈する方も少なくありません。
フリーランスエンジニアとして働く以上、企業との直接契約になるため、きちんと確認しておくようにしましょう。
16日まで保守作業支援を行う内容で契約するのなら、16日の午前中までなのか、それとも16日終日なのか契約時点でしっかりと決めておきましょう。

契約内容について少しでも疑問に思ったことがあれば、必ず確認するクセをつけましょう。
納期を越えてしまった場合の取り決め
請負契約を結ぶ場合、万が一納期を過ぎても納品または作業を完了しなければいけないことは先ほど解説しました。
納期までに作業を完了できるのがベストですが、仮に納期を過ぎてしまった場合の取り決めも契約時に決めておくことが大事です。
たとえば○月×日までに納品できない場合、報酬金額は6割に減額など、あらかじめ決めてくおくとトラブルになりにくいです。

納期遅れによる報酬の減額は極力避けたいですね。計画通りに進められるように工夫しましょう。
契約時は時間に余裕を持つことが重要
正社員や派遣エンジニアとして働いていたときは、契約内容に触れる機会はほとんどなかったのではないでしょうか。
フリーランスエンジニアとして独立すると、基本的に案件の受注と契約はセットになります。
きちんと契約内容を把握しておかないと、自分のクビをしめることになりかねません。
独立直後は無理なスケジュールを組んでしまいがちですが、ペースをつかめてないときこそ余裕のある契約を結ぶことが重要です。
契約などの細かいことは苦手…という方はレバテックなどのフリーランス向けのエージェントサービスを活用することをおすすめします。
あなたがエンジニアとしての仕事に集中できるように、契約の締結についてもサポートをしてくれますよ。
契約に関する基本的な知識を身に着けて、フリーランスエンジニアとして飛躍を目指しましょう。